Asma NOTE

Years of rambling from a midlife otaku.

シネマシティ

海外に出て初めて、台湾の映画鑑賞環境がいかに親しみやすいかを痛感した。21世紀初頭に東京へ渡った当時、都内には「入れ替えなし」「自由席」の映画館が当たり前のように営業していて実に驚いた(もちろん今ではもうほとんどないが)。ハリウッドの話題作も全米公開から3〜5ヶ月遅れで上映されることが多く、チケット代は台湾の倍近い。貧乏学生に映画館へ通う余裕などなかったが、毎月1日の「ファーストデイ」という半額サービスがあったおかげで、当時の僕は見たい映画をできる限りこの1日に集中させて消化していた。

住んでいた国分寺から3駅の立川に、「シネマシティ」という映画館があった。2004年の夏には徒歩5分ほどの場所に新館の「シネマ・ツー」ができて、2館合わせれば10以上のスクリーンがあり、話題作ならだいたい上映スケジュールに入っていた。月末になると翌週の時刻表を広げ、各作品の上映時間を調べては、「各館の移動と自分の体力のバランスを取りながら、見たい映画を1日でどう回り切るか」と作戦を練るのがお決まりだった。

1日3本ハシゴするのは基本で、4本詰め込めるかどうかは前後の上映時間とタイムスケジュール次第、半分は運任せみたいなところがあった。ただ、日本の映画館は本編前の予告編が長いため、前後の上映時間の重複が5分以内なら、脚力と気合でなんとかカバーできた。このやり方は節約にはなるものの、作品と作品の間に余白が一切ないのが難点だ。SF、アクション、サスペンス、恋愛と、ジャンルの異なる映画をノンストップで観ていくと、余韻に浸るどころか、時にはストーリーや登場人物が頭の中でごちゃ混ぜになって喧嘩を始めてしまう。当時の最高記録は1日5本ハシゴで、条件が完璧に揃ったからこそ成し遂げられた「偉業」だった。だが、5本目を観終えた時には、脳みそがセメントで満たされたような状態になっていた。

その経験を経て、1日に何本も詰め込むのは鑑賞体験が損なわれるだけでなく、作品や監督、役者に対して失礼なことだと痛感した。それ以来、いくら節約したくても、映画をハシゴするのは1日2本までと心に決めた。

シネマシティを大好きなのは、あの頃お世話になったからというだけではない。設備をアップデートし続け、特別上映のイベントにも精力的に取り組むその姿から、映画という事業への強い愛が伝わってくるからだ。国分寺から引っ越す時は、なんとも言えない寂しさがあった。名残惜しくはあったものの、片道1時間近くかかるとなると、さすがに普段通う映画館として使うのは無理がある。

「普段使い」の映画館ではなくなったものの、シネマ・ツーの「極上爆音上映」を目当てに、今でも時々わざわざ立川まで足を運ぶことがある。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の轟くエンジン音や、『ガールズ&パンツァー 劇場版』の戦車が刻むキャタピラ音と砲撃音は、わざわざ移動した甲斐があったと思えるほどの満足感を与えてくれた。また、特別上映で観た『AKIRA』や『機動警察パトレイバー the Movie』のおかげで、名作アニメを映画館のスクリーンで体験するという念願も叶った。数年前、字幕版の公開に合わせて妻と一緒に観に行き、夫婦揃ってボロボロと涙を流した『THE FIRST SLAM DUNK』も、僕たちにとって忘れられない大切な映画の記憶の一つだ。

今の大作やスケール感のある作品なら、間違いなくIMAXを一番に選ぶ。スクリーンの大きさという物理的な条件で、シネマシティが大型館と張り合うのはどう見ても無理がある。けれど(少なくとも自分の中では)、シネマシティはもう独自のブランドになっている。これからも相変わらず「たまに」ではあるけれど、細々と通い続けていくのだと思う。

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