エッセイ
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地元の味【その弐】
嬉々として朝食を受け取って家に帰り、期待に胸を膨らませてひと口かじった瞬間――口いっぱいに広がるあの“裏切り”の味覚体験は、軽いトラウマと呼んでもいいのかもしれない。そうした経験から、当時の自分は、す…
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Ⓒ テレビ朝日 雨後のおしゃべり【下】
2021 年 8 月 17 日、宮迫は久しぶりに見慣れたスタジオに戻った。しかしそこで彼を待っていたのは、長年ともに歩んできた相方との別れと、マイホームのような番組への最後の挨拶だった。
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Ⓒ テレビ朝日 雨後のおしゃべり【中】
2019 年の夏、「闇営業」の三文字はテレビニュースや新聞の紙面を埋め尽くし、その年の芸能部門の新語・流行語大賞にも選ばれることになる。連日の報道に押されるかたちで、同年 7 月の第 25 回参議院議…
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Ⓒ テレビ朝日 雨後のおしゃべり【上】
かつて私は、かなり長いあいだ、毎週木曜 23 時 15 分になると欠かさず「アメトーーク!」を観ていた。リアルタイムでテレビの前にいられない時でも、録画しておけばその週のテーマを見逃すこともなかった。…
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楊州周延 開化温泉の図 温泉
記憶にある温泉の初体験は、ひどいものだった。浴室は硫黄のにおいが充満した、狭くて、あちこちに黄白い硫黄がこびりついた小さな空間で、蛇口からは熱々の温泉がざあざあと勢いよく流れ出ていた。張られた湯はあま…
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「スペシャル版」のサイン本 センパイ
先輩がもう一度(マンガの)ペンを握っているのなら、《一刀伝》でも《赤狐》でも、いつかきっとまた世に出る日が来るはずだ――あのときの僕は、そう信じていました。まさか、それが先輩に会った最後になるなんて、…
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地元の味【その壱】
留学生だった頃から、地元の味を自分の手で再現することにはもうすっかり慣れていた。たとえば珍珠丸のような、もち米とひき肉、そして醤油さえあればだいたい形になるものは基本中の基本。涼麺も、辣油、にんにくペ…
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Ⓒ WILDERNESSCOOKING スーピア(Super!)
大きな食材がドン、とまな板の上に置かれ、オヤジは包丁を手に取り、静かに筋や脂、端の部分を削ぎ落としていく。調理の手つきは決して華麗というわけではないが、一つ一つの所作はとても自然で、しかもどこか祈るよ…
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Ⓒ 松本零士 / 零時社 ラーメン
終わりの見えないラーメン行脚のなかで、自分に最も強い影響を与えた一杯は、新潟のとある路地裏にあった。タクシーの運転手に「おすすめの店はありませんか」と尋ねると、彼は駅からそれほど遠くはないものの、ひと…
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Giuseppe Acerbi, 1802 サウナと「ととのう」
21 世紀初に日本を訪れた頃、サウナ初心者だった自分は水風呂に入ることすらできなかった。もちろん勇気を出して試してみたことがなかったわけではない。しかし自分にとって水風呂に入るという行為は、10 分間…