日本ではトークショーのことを「Talk 番組」と呼ぶ。宮迫博之と蛍原徹によるコンビ「雨上がり決死隊」が司会を務めていたことから、番組名は自然と「アメトーク!」と名付けられた。2003 年の放送開始当初は、芸能界やスポーツ界などの著名人を招いてトークを行う、深夜 0 時過ぎに放送されるトーク番組にすぎなかった。
2004 年後半になると番組は徐々に方向転換し、「共通点(趣味/服装/お笑いのスタイル/デビュー時期/所属事務所…… など)」を持つ芸人たちを招き、毎週異なるテーマについて 30 分間たっぷり語り合う(あるいは不満をぶつけ合う)というスタイルへと移っていった。このスタイルはやがて番組の定番フォーマットとして定着する。そして 2006 年 10 月からは、放送時間が深夜 0 時 15 分から 23 時 15 分へと繰り上げられた。さらに放送枠も 30 分から 1 時間へと拡大された。
それに伴い、番組名も従来の「アメトーク!」から「アメトーーク!」へと変更される。拡大版の特別番組では、30 分延びるごとに長音符が 1 本ずつ増え、2 時間なら「アメトーーーーク!」、5 時間なら「アメーーーーーーーーーーク!」という具合に表記される。
この「〇〇芸人」という企画は、実に扱うテーマの幅が広い。もともと高い人気を誇るお笑い芸人であっても、番組を通してこれまで知られていなかった一面を視聴者に印象づけることができるし、知名度の低い芸人にとっても、特定のテーマを足がかりに、自らのキャラクター像を更新したり、より明確に打ち出したりする機会となる。二十年以上にわたり、この番組はエンターテインメント業界全体に持続的かつ深い影響を与え続けてきた。時には芸能界の枠を超え、さまざまな分野における異なる分野の業界にまで影響を及ぼしてきた。
中田敦彦は「JOJO の奇妙な芸人」と「新世紀エヴァンゲリオン芸人」という二つの回を通じて、作品に対するほとんど「狂気」とも言える愛情と、群を抜いたプレゼンテーション能力を披露した。その才能は、のちに別番組「しくじり先生 俺みたいになるな!!」でも大きな旋風を巻き起こし、この深夜番組がゴールデンタイムへ進出するための決定的な礎となったと言えるだろう。そして 2019 年に中田が開設し、現在チャンネル登録者数 550 万人に達する「中田敦彦の YouTube 大学」の主なコンテンツも、まさにこの流れの延長線上にあるものだ。
又吉直樹は、2012 年放送の「読書芸人」によって、知的で本好きな一面を日本中に強く印象づけた。三年後、又吉が『火花』で芥川龍之介賞を受賞するだけの文学的実力があったことに、私はまったく疑いを抱いていない。だが、本作が月刊『文學界』にとって 1933 年の創刊以来初の重版を記録し、その後単行本が 250 万部を超える売り上げに達したことは、「アメトーーク」の影響を抜きに語ることはできないだろう。又吉直樹に限らず、同じ企画に出演した芸人たちの多くも、結果的に文芸界から一定の評価を受けるようになった。小説といった純文学の創作にとどまらず、コラムや書評などの執筆活動へと発展し、新たなキャリアの道を切り開いた例も少なくない。
インターネットメディアが主流となり、テレビが「オワコン(終わる Contents)」と呼ばれる時代にあっても、この番組は二十年以上にわたり、ほぼ変わらぬ時間帯で毎週放送を続けてきた。業界的に見ても、それ自体がすでに一つの伝説と言っていいだろう。
かつて私は、かなり長いあいだ、毎週木曜 23 時 15 分になると欠かさず「アメトーーク!」を観ていた。リアルタイムでテレビの前にいられない時でも、録画しておけばその週のテーマを見逃すこともなかった。そんな習慣が、気づけば十年以上は続いていたと思う。
「絵心ない芸人」「運動神経悪い芸人」「中学時代イケてない芸人」…… そして数えきれないほどの「〇〇大好き芸人(〇〇にはあらゆる人・モノ・ジャンルが入る)」など、実にバリエーションに富んだ企画ばかりだった。この番組は毎週の娯楽を満たしてくれるだけでなく、ある意味では自分の視野を広げてくれる存在でもあった。
「家電芸人」もまた、数ある企画の中でもとりわけ代表的な回の一つである。家電好きの芸人たちが、最新家電の特徴や技術を熱量たっぷりに紹介する内容だ。制作側は当初、一回限りの企画として考えていたにすぎなかった。ところが初回放送でいきなり 15%を超える視聴率を記録する(通常この時間帯では 10%を超えれば上出来とされる)。それを受けて、未使用だった素材を再編集し、同じ企画を二週連続で放送することが急きょ決まった。さらにその年の年末に放送された拡大版特番でも、再び同企画が組まれている。
以後、「家電芸人」は番組の看板企画として定着し、毎年の特番では一度か二度は必ず放送される恒例企画となった。そして「アメトーーク!」で紹介された最新家電をチェックすることは、いつの間にか年末の我が家の恒例になっていた。
いつから毎週欠かさず観ることがなくなったのだろうか。七年前の夏に起きたあの出来事が、最大の転機だったのだと思う。
【つづく】

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